アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

試論

 滅多にないのですが、地元の同人の集まりに呼ばれたりして顔を出すと、「作家は生き方だ」と称して(完全否定できるほど間違いではないんでしょうが)自称作家を名乗り、そういう名刺を出してくる人がいます。しかし、これはやはりやめたほうがいいんじゃないかと思います。全然文芸趣味に理解や興味関心のない人は、自己紹介で「私は作家です」と名乗られると、「そりゃすごい」「これまでどんなものを何冊くらい出版されているんですか」「どこの書店で買えますか?」などと尋ねます――そういう返しをしなければ失礼に当たるのではないかと慮って、社交上義務的に質問するのです。ところが同人の方はそんなものはないので答えに窮し、「いや、売ってる本はなくてですね」「出版かどうかは作家の定義ではなくてですね」等々、口ごもります。同人でもまれに熱の高めの人は自費出版していることがありますが、前述のような質問を重ねられると、世に見出された書き手でないことが明るみになり、口ぶりが徐々に力を失っていきます。そうなると、尋ねた方は、何か悪いことを聞いてしまったような気がして、バツが悪くなります。こうして場の空気が悪くなるのです。
 実績のある本職でない限り、作家・小説家を名乗るべきではなさそうです。私の思う職業作家・職業小説家は、「出版社の金で少なくとも二つ以上の作品を印刷・製本・流通してもらったことがある」「所得税の大半を印税・原稿料で納めている」、この二つを満たしている人です。
 しかしですね……例えば、アマゾンの個人出版サービス『キンドル・ダイレクト・パブリッシング』で年間一千万円以上売り上げるような素人はプロではないのかと問われたら、本人が頑なに否定しても、これはもうプロでしょう(少なくとも税務署はそうとるでしょう)。時代が進むと定義が変わってくるかもしれません。

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