続き物を執筆するのは実は生まれて初めてだ。
こんなに難しいことだとは思ってもみなかった。そもそも物を書く趣味を始めたのは、この世知辛い世の中で空想の世界だけでも生まれ変わりたかったからだ。いわば現実逃避である。それだから毎回必然的に新作を書いてきた。
それが続き物となると、空想の世界でまで一連の因果を紡ぐことになるわけで、まるで私の人生に二つの現実が並走する轍のように伸びている感じである。
もっとも、私がノロノロしていたのもいけない。
前号を書き始めたのがちょうど去年の今ごろ。三カ月ぐらいで脱稿、リリースして、あとは出しっぱなしだった。いつか続きを書き出さなきゃねと思いつつ、忙しさにかまけて、というか怠けきって、ふと気がつけば、登場人物の性格や口調、作品のテイストや方向性を忘れてしまっていた。「え? アレに方向性があったのか!?」と言われたら、身も蓋も無い。
それにしても、なかなかプロットが固まらない。前号はいきおいで書いたようなところがあった。ある程度続編を意識してはいたのだから、何か布石をしておけば良かったような気もする。無茶なことしたなあ。
これって人生にも言えるような気がする。例えば男女の間のことで、恋愛してる時は相手の気を引くためにウンと背伸びをしまくるが、結婚後になるとボロが出まくり続かない……みたいな。ちと違うか。
やはり人生というものは、先を見越して歩んでいかねばならない。その時その場の我執に任せ、目の前の満足ばかりを追い求めていると、後からその自分の業を背負いこんで苦しむことになる。
「アヲイ」名義でKDPを初めて約10ヶ月が経つ。御同業を見渡すと、続編をどしどし出す人、続編じゃなくても新作を出し続ける人がいっぱいいて、いやはやすごい。感嘆しきりである。
- 作者: アヲイ
- 出版社/メーカー: さくらノベルス
- 発売日: 2015/05/24
- メディア: Kindle版