アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

居酒屋の時短営業で気付いたこと。

酒屋の時短営業によって、新たに分かったことがある。

このところ、年のせいか、表で飲酒して家に帰って寝ると、翌朝になって昨晩のことがとんと思い出せないことが多い。まことになさけなくて、自分のことも酒のことも嫌いになりそうだが、離縁するのは無理で、ずるずるべったりの関係が続いていた。

で、最近、世間の赤提灯は時短営業になった。仕方ないと諦めて早々に家に帰っていたのを、「あ、早くから飲みだして早く帰ればいいじゃん」と思い立ち、独身の個人事業をいいことに、四時か五時に縄のれんをくぐって、八時の看板の頃に下楼するようになった。八時なんていうのは、随分早い時間だから、帰ってすぐに眠ることはなく、キリキリ痛みだす頭を抱えてしばらく過ごし、十二時頃、入眠する。

翌朝、目が覚める。

すると……昨日のことを意外に覚えている。

「そうか、飲んですぐ寝るから忘れちゃうのか……しばらく起きてたらいいのかな? たぶん」

家で酒の続きをやりがちなるところだけど、そこさえ耐えれば、健忘症をいちいち憂うことは無くなるかもしれない。
尤も、アルコールは確実に脳をむしばむけどね。
 
ていうか、その前に「飲みに行くな」という批判をもらいそうである。

ブレイブガールスープレックス

ブレイブガールスープレックス

 

 

読み放談|須藤裕美「異世界購買部!学生食堂はじめました。」を読む

 

人の文章を読むと、癖だとか節回しとかがうつってしまい、自分の文が書けなくなる。昔からそうである。ぼくは人に頼まれて作文を書くのを生業にしているので、これは致命的で、日頃から小説は読まないようにしている。だけど、さすがに長らく読まないと、世間の文章事情(はやりすたり)が分からなくなるので、この春に限り、縁のあった小説をいろいろ読むことにした。その中の一つに、表題の作品があったのであります。

これです。

今までに手に取ったことのない雰囲気の表紙である。出版レーベルが「コスミック文庫α」というところで、検索してそのサイトを閲覧すると、この本は「ライトノベル」に分類されていた。ということはライトノベルなのだろう。ところでぼくは、「ライトノベル」を一冊も持っていない。立ち読みすらしたことがない。つまり、ライトノベル初体験である。昨年、こんなことをやった際、「小説家になろう」で浜の真砂の数ほどの小説群に出会ったが、これらをものしている人たちが「ライトノベル」を標榜していると聞いた。するとつまりあれらは「ライトノベル」に近い物なのだろう。それなら多少触れてみたけど、まあとにかく、ぼくのライトノベル経験値はそのへんどまりであるからして、初体験といって差し支えない。

 

、読んでみた。
ちょうど300ページあって、ぼくにとってはブ厚い本なのだけど、ストーリーが軽快で、文章も難しくなく、だいたい会話で展開するので、すぅぅうぅーっと読み終えることができた。
話の流れを簡単にまとめると…

主人公の女の子は、小川町なる田舎で、両親から受け継いだ小商店を切り盛りしている。気を失って目を覚ますと、欧風な世界の学園にいる。やれどうしようと困っていると、学園長が学園の購買部に働き口を見つけてくれる。だがそこは汚くて客は寄りつかず、だらしない男が部長をやっている。主人公の女の子は、元の世界に戻る方法を模索しながら、彼女らしいアイデアと小商店経営のノウハウで購買部を復興させる。さらには学食経営にも乗り出し……。

ネタバレになっちゃいけないからここらで止めておく。

 

ファーストインプレッションはこうだ。

あーっ! 知ってる!
異世界転生っていうんでしょ!

巷によく聞く異世界転生。
ぼくは、ついにその本物を読んだんだ!
なにかこう、「ジブン、いまを生きてるなあ……」と思った。

もう一つ、これまた巷によく聞く筆法というか、主人公がすでに万能である。経営のノウハウや料理のテクニックを兼ね備えている。世界をぶっ壊すほどのステータスはないものの、すでにいろいろできる子で、周りの人たちがそれに純粋に驚き、敬意を表している。

総じて、
異世界で万能人が快刀乱麻。
そういう話です。問題を次々に解決していく過程が心地良い。

 

いではしばしば「ターゲッティング」の重要性が説かれる。作家と出版社は一冊の本を世に出すにあたり、一生懸命マーケティングをし、目論見に見合うように構想し、執筆、出版してるんだろう。

だとすると、こうした本は何歳くらいの人たちが読むようにできてるのだろうか。

ぼくは40過ぎのおっさんで、おそらく想定されたターゲットではなかろうから、気の利いたことを言おうにも躊躇しがちだし、言ったとしても、なんだかちぐはぐなことを言いそうで怖い。それでもまあ、頑張って考えてみよう。

本作は物語の様々な要素を考え合わせると、対象年齢10代前半くらいかな、と思う。といっても、作中、購買部の経営を通じて現実の「社会」や「経済」を彷彿とさせる部分がいくつもあり、決して安直では無い。また、人と人の関わりの中に「相手に期待をこめる」という、昨今忘れられがちな感覚が生きている。やわらかなエンターテインメントの中に、なにかこう確固たる部分が見受けられるのである。こういうのを未来ある若者が読んだら、社会へのときめき、あこがれ、仲間意識、チャレンジスピリット……を抱かせるかもしれないなと思うと、なんだか好感が持てる。

作者がもしそういった願いを織り込んで本作を書き上げたとするなら、これはもう大変な仕事であると思う。いわゆる「ラノベ文法」  異世界転生、なーろっぱ、キャラデザ、万能系主人公、人間関係、大団円、その他もろもろ  そういったものを全て包含しながら、おのれの言葉を託す。主体的書き手として、商業作家として、並大抵のことではない。

まあ実際に作者がそういったメッセージを本作に込めようとしたかどうかは、ぼくの勝手な空想である。けれども、いずれにしても、ぼくは本書を読んで、「これは大変な労作だ」と感じた。とくに物語の最初あたり、主人公の心中の独白をあらわす()の箇所々々に、なにかこう、繊細なものを感じずにいられなかった。しかしそれがまた、主人公の心境に陰影を与える効果になっているようにも思われるのである。 

 

いうわけです。
いろいろ申し上げましたけど、この本、物語を楽しみながら、生活の知恵をたくさんもらえますよ。お菓子作りや清掃方法など、いっぱいノウハウが詰まっています。きっと作者の須藤さんは、「物書く生活知恵袋」ですよ^^ぜひ読んでみてください。


おしまい。

「遅いが勝ち」「うさぎとかめ」の確定申告

 

定申告は年に一度のことである。
時期が近づいて領収書をまとめ、帳簿を付け、そんでもって申告の書類をつくっていくわけだが、毎回やりながら

「あ、こういうことか」
「なるほど、そうやるのか」
「これはこういう勘定項目か」

と学びがある。

でも年に一度のことなので、学んだことも、一年経てば忘れてしまう。
翌年を迎えれば、申告の時期にまたしても

「あ、こういうことか」
「なるほど、そうやるのか」
「これはこういう勘定項目か」
「……って、これ去年も思ったことじゃん!」

毎年しょっぱいことの繰り返しになっている。

アホである。
全くアホである。
が、仕方が無い。

個人事業をやる前から自分がアホなことは分かっていたので、いまさら「アホである」というのは何の言い訳にもならないのである。

 

は意外に律義&せっかちなところがあって、例年、確定申告の期日がはじまると、開始から少なくとも4,5日以内にえいやっと提出し満足していた。日本の学校で教育を受けたからには「かけっこでも宿題でも何事もはやいことはいいことだ」と教えられているので、なんだかそれだけで褒められてもいいはずだと勘違いしているのである。

だが、実は世の中には、時間をたっぷり使い、ギリギリまで考えをめぐらし、意を及ぼし、準備万端整えておこのうのがよいことがザラにある。むしろそっちの方が結果として良いケースが多いくらいだ。

私は今年の確定申告で、そのことを実感したのだった。

 

承知の通り、今年は申告期間が、新型コロナウィルスのために、後ろにびろんと一か月も延びた。私は、ちょっと忙しかったのと、かつまた、例年のおのれのアホさ加減にうんざりしていたこともあり

「伸びたんなら伸びたなりに遅れて出すべえ」

と、最終日に持ち込むべく、帳票までやってあとは放置。帳票付けにあたり、今年も例年通りおのれの「アホ」さ加減は堪能したので、しばらく休憩することにした。

、ここで意外な気付きを得た。

私のまわりの個人事業主ども、すなわち確定申告仲間らが、十二支の競走のようにひとりまたひとりSNSに「済ませた!」みたいなことを載っけだした。
「ホウホウ、みんなはやいわね…」
わたしは例年、誰よりも先に申告を済ましていたので、あとからやる人に何かを問うことは無かった。だが、今年は後出しを決め込んでいるので、先に済ました人に「どうだった?」「大変だった?」と尋ねてみる機会がうまれた。

すると、いろいろな回答があった。

「あれをああしておけばよかった('A`)」
「こういう風にすればよかった('A`)」
「これは〇〇〇〇しておけばなぁ('A`)」

おお、なるほど!

私はいたく感激した。
みなの口から溢れ出たのは軒並み後悔で、なおかつ、私が自分の脳みそと検索能力を駆使しても絶対思いつかないような、有益な申告ノウハウの数々だった。中には「税理士さんに教えてもらった」というやり方を惜しげもなく教えてくれる人もいた。

おかげで私は、彼らから聞きだした情報をもとに、自分の申告書類をつくりなおす機会を得た。仲間らの後悔を糧に、よりより申告を行うことができたというわけである。

「あー、急いで出さずにおいてよかったw」

 

本には、いろんなコトワザがある。

急いては事を仕損じる。
残り物に福がある。
真打は最後に上がる。

あるいは

善は急げ。
思い立ったが吉日。
先んずれば人を制す。

いろんなことが言われるけど、とにかく、今年は確定申告期間が延びたおかげで、なにかこう、賢い生き方、というのをちょっと学べた気がした。

 

…と、これもまた来年学びなおすのだろうか?

いや、コロナはもう終わっててほしい。

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