アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

温泉記。その6<湯周遊:鹿県国道3号線点々>

ールデンウィークやお盆休みたいにまとまった休みは、無粋で無愛想な私でも、レジャーに誘われたりする。登山だ、海水浴だと、日頃よりかえって疲れることばかりで、全然休みじゃない。そもそも誰かと一緒にいるだけで気疲れがする。誘ってもらっといて言うのも何だが、だいぶ遠慮していただきたいのが本音だ。

休みとは、私にとって本来「なぁんにもしない日」である。

だからと言ってホントに何にもせずに家でごろっちゃらしていると、せっかくの休みを無為に費やしてしまったような気がする。私って本当に面倒臭い。

 心身共に健全な休みの過ごし方とは一体何であるか。
今年の夏は、いまさらながらそんなことを考えさせられた。
そこで行き着いたのが、こんな考え方だ。

心身の安息休養もさることながら、濃密な自己肯定感の追及こそ充実した休日の本質ではないか。

簡単に言うと、いわゆる「休日」は「心身の安息休養を図る日」とは別物だということだ。
「安息休養」は肉体疲労の回復が目的だ。具体的には、朝寝をしたり、半日ボーッと何もしなかったり、酒を控えてみたり。それでいくらか回復する(ちょっと若さ任せなところがあるけど)。
かたや「休日」は、私が私であるための活力・自信を取り戻すための儀式である。「私が私で」とする以上、誰かと何かをするのではない。私が好きなことを一人で目一杯やるのだ。

いうわけで、私は自分で定義した「休日」を敢行するため、先日、丸一日を費やして活動してみた。
ずばり、【自作執筆&温泉ハシゴ】の旅である。
哀しい哉、今の私にはこの二つくらいしか「私が私である」ことを確認できるものがない。ほんとは安い温泉宿に一泊したいくらいだったが、予算の都合で無しになった。それに、さすがに一日半以上のオフはとれないしね。

ハシゴした温泉は3つ。
いつものように、鹿児島県の湯である。

 

◆冠岳温泉

鹿児島市から国道3号線をウーンと一時間以上走ったら、いちき串木野市なる場所に出る。そっから山の県道を走ると、冠岳に辿り着く。かつて徐福が秦の始皇帝の命令で不老不死のクスリを探しにやってきて、ここに冠をおさめたから冠岳と言うらしい。そこに湧く温泉だから、有難くないわけがない。

名称と場所柄からどろっどろの秘湯かと思いきや、とてもこざっぱりとした温泉施設である。銭湯というにはスタイリッシュで、ベージュの明るい漆喰風の壁に、清潔さとぬくもりが併存している。洗い場もきれいで、シャワーがカラン同様自動ストップするのは初めてみた。露天もある。

平日ながら人が多く、わちゃわちゃしていたが、まあ、人が集まりそうな温泉だと思う。店員さんが明るく元気なのは好感。

  • 湯銭:330円
  • ドライヤー:無料(男湯2機)
  • ロッカー:有料鍵か籠のみ

 

郡山温泉

こちらも国道3号線から小道に分け入るのだが、冠岳温泉よりは鹿児島市にうんと近い。川沿いに3つの駐車場スペースが妙なアップダウンで並んでいる。そうめん流しの屋根も見える。その奥まったところにある大きな建物が郡山温泉の本丸である。中は温泉宿で、土産物売り場や自炊場が見えたけど、パッと見て元は病院なのかなあと思った。

湯銭は400円とやや高めだが、納得させられるだけのものはある。内湯が二つ。それぞれ別の間取りで、脱衣場を経由しなければ往来できない。そのうち一つが露天につながっている。
露天につながっていない方の内湯は、広い湯船が特徴。脱衣場から床まで数段の階段があるから転倒注意だ。ぬるめでトロッとした泉質。こいつぁ心地よい。かなりの量の湯が滾々と湧いている。
かたや、露天につながる内湯は、広くはないが同質の湯と、竹筒からのうたせが一筋、尽きることなく流れている。
露天は日本庭園風、タイルは暗調でシック。屋根の下のぬるめの湯は、いつまでも入っていられそうな心地良さだ。壁にテレビが掛けられていたが、何も流れていなかった。もっとも、露天に入ってまでテレビ観るような奴は、野暮だなあ。

  • 湯銭:400円
  • ドライヤー:無料
  • ロッカー:有料鍵か籠のみ

 

◆とどろき温泉

前述の郡山温泉の、川を挟んだところにデンと建つ。こちらも温泉宿だから、近隣はさながら温泉郷である。
湯殿はワンフロア。広くて天井が高く、光が入ってとても明るい。幾何学的に弧を描いた湯船の中に、音波、気泡、低周波風呂が並んでいる。真ん中あたりにドバドバ湯が流れ込んでおり、その辺りはちょっと熱い。源泉温度がかなり高く、加水しているとのこと。それでも他所の温泉と比べて結構熱い。シャワーも熱い。熱いのがお好きな人にはたまらんだろう。
こぢんまりとした露天風呂もある。竹垣から首を伸ばして外を眺めると青田が広がっていた。青天に緑が眩しかった。

  • 湯銭:300円
  • ドライヤー:無料
  • ロッカー:無料鍵

今回の湯めぐりは、以上三つ。
どの湯もすばらしかったよ。

さて、真夏の露天風呂は、気を付けなければならない。35度の炎天下でも、湯船に浸かっていると涼しく感じるが、間違いなく熱射にさらされている。ダラダラ入っていると、湯殿に戻ってキュー、だ。

泉を挟み、ファストフードやファミレスで自作小説を書き進めた。BGS(仮)、初の格闘技モノである。元々プロレスファンで、格闘技はまあまあ好き。あまりマニアックにならないよう、表現を禁欲して書いている。予定の半分くらいに達して、ようやくメインキャストのデビュー戦を迎えた。アクションシーンはあまり書いたことがないので難しい。

長物を長い時間かけて扱っていると、「はて……これって面白いかな?」と根本的な迷いにぶつかることがある。実は、いまちょっとそんな感じだ。筆が鈍ったらいつもなら数日放置するのだが、こういう心境の時にそれをやっちゃうと、そのまま興味を失って二度と戻らなくなることがある。だから今は、作品への疑念を掘り下げない程度の分量を、淡々と書き連ねようと思う。

温泉・執筆・温泉・執筆……と繰り返したこの日。三つも湯に入ったら、さすがに身体がぐったりした。その晩は「今日は飲酒はやばいな」と、素直に寝た  このことも、身体にとっていい休みになったはずである。

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温泉記。その5<湯周遊:鹿児島市内中央部>

変わらず、平日の昼間に温泉通いをしている。週4くらいのペースである。久しく自宅の風呂場を拝まない。

銭湯や温泉についてはまだほんの駆け出しだから、今は何にでも感動できる。昔からの湯道楽にとっては「何をそんなに」というようなことでも、心から喜んでいられるのである。

もしかすると今この時が、温泉趣味人として最も幸せな時かもしれない。ズブの素人だからこそ感じられる豊かさを、今のうちに存分に味わっておきたい。きっとそのうち「あそこは循環だからどーのこーの」とか「あそこはカルシウム成分が云々」とか、薀蓄を並べる嫌な奴になるだろうから。どうして野郎ってのは、物事をデータベース化しようとしたがるのかね? そうはなりたくないなあ。

 

て、無邪気な私が最近キャーキャー言っているのは、ひとつの気付きである。それすなわち、「比較的近所にある銭湯や温泉は、温度や泉質が似ている」という気付きだ。きっと地面の下で湯脈がつながっているんだろう。当たり前っちゃア当たり前なのだが、そんな当たり前のことで、今の私は大変満足なのである。

鹿児島市内中央部・鴨池地区周辺の温泉は、基本的に塩がキツくて結構熱い。長時間は入っていられないが、湯冷めしないことと肌への優しさは抜群だ。肩こり腰痛にはすごく効く。髪なんかサラッサラになって、リンス要らずである。

今回は三つの温泉をご紹介。

 

◆竹迫温泉

鹿児島市内でもっとも古い温泉と言われている。リニューアルされて非常に清潔である。湯船が三つ、深風呂・泡風呂/電気風呂・水風呂の三つ。入浴に特化しているのか、あまりこじゃれた感じはしない。特に広くも無い。けれども湯量が豊富でどっぷりと浸かった時の満足感は、他の追随を許さない。

脱衣場は非常にきれいで、涼やか。棚や床の色合いも落ち着いていて「よいなあ」という感じだ。
だが、サッシを開けて湯殿に入ると、なんというかこう…全体的に造りがドッシリしている。湯船のヘリや、掛け湯の壁などどこもかしこも分厚く、頑丈そのもの。入浴するおっさんたちもみな無心でわっせわっせと己を磨いており、心なしか面構えも凛々しい。硬派な風呂である。

  • 湯銭:390円
  • ドライヤー:20円
  • ロッカー:鍵付き無料

 

◆温泉錦湯

路面電車の通りからすぐ入ったところにある。
とても広くて、明るく、きれい。
湯船も広い。岩風呂、ゲルマニウム風呂、パルス風呂など。
湯量豊富、塩がきつめで、高い入浴感を得られる。

広くて明るいので解放感に溢れている。
湯殿に入ってすぐのところがガランと広い。タイルの上に仰向けになって手足を伸ばす爺さんたちが続出している。みな隠すところを隠そうともせず、極楽往生を手元に感じて恍惚とした表情を浮かべている。思わず合掌してしまいそうな光景だ。

  • 湯銭:390円
  • ドライヤー:3分10円
  • ロッカー:鍵付き無料

 

◆中村温泉

通りから奥まったところにある。入り口の重厚な「中村温泉」の石碑が印象的だ。
中は非常に広い。奥から岩風呂、寝湯、パルス湯、電気風呂など。「ぬる湯」という表示があるが、比較的熱い。

立地しかり、平日の昼日中に行くと穴場感がただよう無人っぷりだが、鏡の数から予想するに、ピーク時は相当入るのだろう。湯船もドカッと広く、大人数仕様。地元民に愛されているのがよく解る。ここも広いので爺様の甲羅干しを拝むことができる。

  • 湯銭:390円
  • ドライヤー:20円
  • ロッカー:鍵付き無料

取りあえず今回は、こんなとこ。
また掲載していきます。

最近は、手首が両方ダメになっているのと、それをかばったせいで左肩・左肩甲骨の凝りがひどい。温泉は息抜きとガチの療治になりつつある。
目下、次作小説BGS(仮)は原稿用紙で170枚程度の進み具合。プロット的には半分くらいまで達したかと思われる。けど、9月末完成はちょっとムリかなと思います。

温泉記。その4<龍門滝温泉>

泉というと「効能」、銭湯というと「地元民の風呂」という印象がある。詳しく調べると、二つの区分には温泉法とか公衆浴場法とかちゃんとオキテがあるようだ。でもまあマニアでもない限り、多くの人が前述の感覚と同じなのではなかろうか。
つまり温泉なら、泉質と源泉かけ流しにこだわりたいし、銭湯なら、きれいなタイル、曇らない鏡、シャワー・カランはもちろん、涼しい脱衣場、ドライヤー完備など、いろいろ細かく揃っているのがいい。

直、温泉の方は「ご褒美」だと思う。
田舎のいわゆる秘湯・名湯にいけば、湯船以外の入浴設備が皆無のところもある。入浴を清潔のための行為と位置づけたら、用をなさない。にもかかわらずその湯に参ることに意味を与えるとしたら、これはもう付加価値でしかなく、つまり「ご褒美」だ。

別にそれが悪いってんじゃないよ。

昔、鹿児島県の三島村を訪れた時、海っぺたにある東温泉というところに行った。温泉と言っても、岩場に湯が溜まっていて、それだけである。緑っぽく酸の強い湯で、一度身体を突っこんだら半日はずっとチリチリと温かい。舐めれば酸っぱい。秘湯中の秘湯である。しかし、そこは屋根は無いし、脱衣場っぽい壁はあるけどあんまり意味は無いし、手桶も灯りも何にもない。清潔のための入浴に適しているとは全く思えない。だが、大海原の絶景に、ときおり浴びる白波のしぶきは、まさに大自然のエンターテインメントであり、ご褒美感満載である。
▼詳しくはこちら。写真が拝める。

れども、私はやっぱり、湯に入るなら清潔になりたい。
だから「銭湯」を好む。

銭湯にも二通りある。個人経営と、市町村が運営する銭湯だ。
前者は、小さいところだと本当に小規模で、近年数が減っている。大きいところは企業化してスーパー銭湯となり利益を上げている。
市町村が運営する方  これが私の好む方  は、大部分が田舎にありながら規模が大きく、設備が充実。非常に清潔である(公営施設からレジオネラ菌が出たら大変だ)。駐車場も完備されていて、訪れやすい。
おそらくこういったのは、公的な補助金か何かでできているのだろう。行政が「地域のお年寄りに娯楽的な施設を」という趣旨でこさえた箱モノなのだ。でなきゃ「何でこんなド田舎にかくも立派な施設が?」と思う。知らずに近づいたら、山中で異様にでかい宗教施設に出くわしたような衝撃である。

門滝温泉は、鹿児島県姶良市に存在するそんな温泉の一つである(宗教施設ではありません)。
鹿児島市の中心部から車で約一時間。
近くに龍門の滝という、絵にかいたような白滝があり、雨の後などは白濁した水をこれでもかと吐きだしている。
龍門滝温泉のウリは、湯船に浸かりながらこの瀑布を拝めるという点だ。
公営銭湯の例にもれず、シャワーやカランは完備、サウナもある。湯船は寝湯、電気湯、気泡風呂など。扇型で広々している。湯は熱からずぬるからず。個人的にはちょうどいい。

何がいいって、湯銭250円という安さだ。もっとも、近隣住民以外には交通の便の悪すぎるところだから、そのくらい安くないと。安い分、ガソリン代が掛かっているのである。

ただ……男湯だけかもしれないが、シャワーがなかなか湯にならない

銭湯の並んでるシャワーやカランって、あれは直列なのだろうか。自分が湯を出している時に、脇に人が来て栓をひねると、急に熱くなったり冷たくなったりする。次に訪れたら直列の源にあたるところを使おうと思うのだが、つい忘れちゃう。

ドライヤーはタダです。10円をぽっけに忍ばせておく必要はありません。ロッカーは鍵は無い。が、脱衣場の外に100円コイン式ロッカーがある。

龍門滝温泉の施設は、入り口に地元の物産市が広がっている。外に出て裏に回ると、鹿児島名物・廻るそうめん流し。滝を眺めながらそうめんを食べることができる。どうだすごいだろ(利用したことは無いけど)。

名湯とまでは言いませんが、個人的には居心地がよいと思う温泉です。湯殿の窓をあけ、その先に見える白滝の一筋を眺めつつ、肩まで湯に浸かっていると、ああ、この世は水の恵みで出来ている、と、思えるのです。

▼この記事のお湯はこちら。

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