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創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

温泉記。その4<龍門滝温泉>

泉というと「効能」、銭湯というと「地元民の風呂」という印象がある。詳しく調べると、二つの区分には温泉法とか公衆浴場法とかちゃんとオキテがあるようだ。でもまあマニアでもない限り、多くの人が前述の感覚と同じなのではなかろうか。
つまり温泉なら、泉質と源泉かけ流しにこだわりたいし、銭湯なら、きれいなタイル、曇らない鏡、シャワー・カランはもちろん、涼しい脱衣場、ドライヤー完備など、いろいろ細かく揃っているのがいい。

直、温泉の方は「ご褒美」だと思う。
田舎のいわゆる秘湯・名湯にいけば、湯船以外の入浴設備が皆無のところもある。入浴を清潔のための行為と位置づけたら、用をなさない。にもかかわらずその湯に参ることに意味を与えるとしたら、これはもう付加価値でしかなく、つまり「ご褒美」だ。

別にそれが悪いってんじゃないよ。

昔、鹿児島県の三島村を訪れた時、海っぺたにある東温泉というところに行った。温泉と言っても、岩場に湯が溜まっていて、それだけである。緑っぽく酸の強い湯で、一度身体を突っこんだら半日はずっとチリチリと温かい。舐めれば酸っぱい。秘湯中の秘湯である。しかし、そこは屋根は無いし、脱衣場っぽい壁はあるけどあんまり意味は無いし、手桶も灯りも何にもない。清潔のための入浴に適しているとは全く思えない。だが、大海原の絶景に、ときおり浴びる白波のしぶきは、まさに大自然のエンターテインメントであり、ご褒美感満載である。
▼詳しくはこちら。写真が拝める。

れども、私はやっぱり、湯に入るなら清潔になりたい。
だから「銭湯」を好む。

銭湯にも二通りある。個人経営と、市町村が運営する銭湯だ。
前者は、小さいところだと本当に小規模で、近年数が減っている。大きいところは企業化してスーパー銭湯となり利益を上げている。
市町村が運営する方  これが私の好む方  は、大部分が田舎にありながら規模が大きく、設備が充実。非常に清潔である(公営施設からレジオネラ菌が出たら大変だ)。駐車場も完備されていて、訪れやすい。
おそらくこういったのは、公的な補助金か何かでできているのだろう。行政が「地域のお年寄りに娯楽的な施設を」という趣旨でこさえた箱モノなのだ。でなきゃ「何でこんなド田舎にかくも立派な施設が?」と思う。知らずに近づいたら、山中で異様にでかい宗教施設に出くわしたような衝撃である。

門滝温泉は、鹿児島県姶良市に存在するそんな温泉の一つである(宗教施設ではありません)。
鹿児島市の中心部から車で約一時間。
近くに龍門の滝という、絵にかいたような白滝があり、雨の後などは白濁した水をこれでもかと吐きだしている。
龍門滝温泉のウリは、湯船に浸かりながらこの瀑布を拝めるという点だ。
公営銭湯の例にもれず、シャワーやカランは完備、サウナもある。湯船は寝湯、電気湯、気泡風呂など。扇型で広々している。湯は熱からずぬるからず。個人的にはちょうどいい。

何がいいって、湯銭250円という安さだ。もっとも、近隣住民以外には交通の便の悪すぎるところだから、そのくらい安くないと。安い分、ガソリン代が掛かっているのである。

ただ……男湯だけかもしれないが、シャワーがなかなか湯にならない

銭湯の並んでるシャワーやカランって、あれは直列なのだろうか。自分が湯を出している時に、脇に人が来て栓をひねると、急に熱くなったり冷たくなったりする。次に訪れたら直列の源にあたるところを使おうと思うのだが、つい忘れちゃう。

ドライヤーはタダです。10円をぽっけに忍ばせておく必要はありません。ロッカーは鍵は無い。が、脱衣場の外に100円コイン式ロッカーがある。

龍門滝温泉の施設は、入り口に地元の物産市が広がっている。外に出て裏に回ると、鹿児島名物・廻るそうめん流し。滝を眺めながらそうめんを食べることができる。どうだすごいだろ(利用したことは無いけど)。

名湯とまでは言いませんが、個人的には居心地がよいと思う温泉です。湯殿の窓をあけ、その先に見える白滝の一筋を眺めつつ、肩まで湯に浸かっていると、ああ、この世は水の恵みで出来ている、と、思えるのです。

▼この記事のお湯はこちら。

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