アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

進捗が嗤ってる。

アヲイです。
自分で自分に質問します。

Q.
新作を書いています。すごく時間が掛かっています。もう夏です。9月までに終わるのかしらと不安になっています。個人的な理由で是が非でも9月いっぱいに終わらせたい。そう思っても、なかなか筆が進まず……。
ええ、分かってますとも。これは私の怠慢です。
私は現実逃避の理由付けが上手なんです。「仕事が~」とか「友人とのおつきあいが~」といって自分をだまくらかし、態よく先延ばしにしています。
そんなことでよいのでしょうか。

A.別にいいんだと思います。

私が作品を出すも出さぬも、9月に間に合おうが遅れようが、一体誰が困るというのでしょう。創作は根本のところ個人の営為です。私が私本位で私の創作をすればいいんだと思います。


うがッ。違う違う!
何を淡々と小綺麗なことを抜かしよるか。
個人の営為だからこそ、自分を律して芸道を貫くのが本来じゃないか。

  とまあ、小芝居じみておりますが、予定より遅れているのは事実です。そこで今回は、本ブログに次作の情報をいくらか公開することで、自分を後に引けない状況に追い込みたいと思います。
これを読んでるあなた、すみません。
私はあなたに「ァアッ? アン時おまえ、言ったよな?」と追及する権利を押し付けることで、私の義務感を後押ししていただきます。

注:間に合うか否かだけですよ。中身の評価は別で願います。

◆次作情報

タイトル:BGS(仮題)
プロレスリングをベースに、コメディと人情噺を融合した癒し系小説。時代は現代。舞台は日本の中っくらいの都市。主人公は退職願を出したばかりのサラリーマン男性(34)。勢いで会社を辞め、その後どうするかと思いあぐねているところに、ドジで鄙びた女性に出会って……。
一人称小説。
完成したらたぶん原稿用紙で350枚くらい。
無責任姉妹みたいに突拍子も無いことは起こらない。

以上です。
さあ、書くぞ。

温泉記。その3<重富温泉>

じめに言っておくけど、ホントに行ったのは7月2日である。せっかく行ったんだから忘れないように書いておくノデアル。

基本、混雑した大浴場にいくのは嫌だ。
裸のおっさんというのは、同性ながら見た目にキモチ悪いし、筋肉がムキムキしていて怖い。同属嫌悪というとなんかちょっと違うかもしれないが、もしかしたら自分もああなるかもしれないと思うと、よけい目を逸らしたくなる。
んで、原則として温泉には平日の昼前、あるいは昼下りにいくことにしているのだけれども、この7/2は日曜日にもかかわらず、湯を求めて家を出た。

なぜなら、ゆうべの酒を抜きたかったのだ。

こういう温泉の使い方は、たぶん一番やっちゃいけないんだろう……けど、ま、若いうちの特権だ。無論すでに酔いは無かった。ただちょっとなんとなく頭が重かったくらいである。

かったのは重富温泉というところ。
鹿児島市の中心部から車で30分~40分くらい。国道10号線から細い道に曲がり、住宅地を縫うように走っていたら、ぽっかり広いところにでる。平屋の瓦屋根の建物が2、3棟、無造作に建っている。それが重富温泉だ。

暖簾をくぐるとキュートなおかみさんが番台にいて、湯銭を払う。
脱衣場に入る。木造でやや古ぼけているが、明るい。棚に脱衣籠が並んでいる。キーのロッカーではないから貴重品は番台にあずけねばならない。服を脱ぐ前に引き返して財布をおかみさんに  

あとでこのことが銭湯シロウト丸出しの結果を招くことになる。

殿へ向かう。
それにしても、やはり温泉は酒抜きのためにいくもんじゃない。ほぼ収まりかけの二日酔い、ただ頭が重いだけかなと思っても、やっぱり足腰はどこかフラついている。自分ではしっかり歩けていると思っても、神経はまだなんとなくボンヤリとしているのである。
案の定、湯殿に足を踏み入れてすぐ、タイルで滑ってスっ転び、尻から落ちて大の字になった。素っ裸でコケることの情けなさ、恥ずかしさったらありゃしない。奥のカランに頭を洗っている人が一人いて、大きな音にびっくりしたようだったけどシャンプーまみれで視られることは無かった。いや実にお恥ずかしい。
でもまあ、滑るわけだよ。ここの泉質は非常に上質で塩味白濁。それがタイルにかけ流しで溢れているわけだから、床までツルツル滑らか。身をもって泉質を証明した格好である。

富温泉は内湯と露天風呂がある。内湯は横長で電気やら寝湯やら。源泉かけ流し。実に好い熱さだ。露天風呂はその日は激ぬるだったから2秒つかって出たけれども、居合わせた人に聞いたらいつもはこうじゃないらしい。そういうわけで内湯にばかりつかっていた。
グングン酒が抜けていったね。

実は最初にスっ転んだ時、左の上腕に大きな痣をこしらえてしまっていた。これは治るのに長くかかるだろうと思っていたが、さすが温泉である。打ち身・擦り傷に効能があるのか、しばらく湯につかっていたら、ヒリヒリする程度で痛みはでなかった。グロいほどに紫ばんだ内出血も、翌々日にはほぼ消えた。温泉ってすごいなあ。

て、酒も抜けたし十分湯を味わったので脱衣場に戻った。身体を拭いて着衣し、さて髪を乾かそうと、鏡の前のドライヤーに手を取った。よく見ると、コイン投入口付きの電源装置がくっついていて、3分10円也と書いてある。私はクセっ毛なので入浴後はすぐに乾かさないと、あとが大変だ。ようし、10円10円……。

そうだ、財布は番台にあずけたんだった  

ここが銭湯シロウトの哀しさだ。巷の銭湯を見渡すと、コイン式ドライヤーのところは結構存在する。来た時に確認しておかないと、後でこういうことになる。貴重品は預けても10円玉の2、3枚は持っておかなきゃならない。

しょうがないからひとまず扇風機で軽く乾かす。
脱衣場を出て番台のある玄関フロアへ。財布財布。ところが番台にこんな書置きが。

家族湯の掃除をしています。
御用の方はしばらくお待ちください。

フロアは扉が開け放してあり、エアコンも掛かっていない。で、こちらは身体の芯まで温もった後だから、汗が拭き出すゝゝ。も一度湯殿に戻りたいくらいである。

しばらくすると、おかみさんが戻ってきた。
すいません、すいませんと繰り返しておられた。汗だくで困ぱいの様子だ。きっと掃除は大変なのだろう。謝る事なんかありませんよと心の中で声を掛け、財布を返してもらった。ホントにキュートな方で、なんかもう、頑張ってくださいと、それだけだ。髪を乾かすのなんかどうでもよくなった。

富温泉の横には、軒を連ねるようにして居酒屋とギャラリーが併設されている。居酒屋はランチもやっているとのこと。カラオケの看板も出ている。きっと地元の方々の憩いの場なのだろう。外から見たら、ひとりの爺様が椅子に座って熱唱していた。これは福祉だ。まさに福祉だ。

ギャラリーには瀬戸物やら何やらが所狭しと置かれていた。そこで温泉のご主人らしき人に会い、いろいろ話を聞いた。ランチはワンコインからやってるよ、ギャラリーで骨董のセリをやったりするよ、などなど。

「カキ氷もやってるよ」

ご主人はそう言って表のブースを指さした。駐車場を挟んで向こう、敷地の端っこに人一人が入れるくらいの小屋が見える。

「まるでテーマパークですね」

私は別れを告げ、駐車場の自分の車のところへ向かった。

車は、エコじゃないけどエアコンが利くまでアイドリングしていた。すっかり汗だくだったのでね。車内が涼しくなったのを見計らい、乗りこんで発進し、駐車場を出ようとした。

その時、ふと脇に目を遣った。例のカキ氷のブースに、主人の姿があった。こちらを見て、ニコっとほほえんで……さっきの会話って、もしかしたらお誘いだったのかもしれない。
車中、思わず、

こ、今度来た時は、カキ氷いただきます。

 ▼この記事のお湯はこちら。

温泉記。その2<弥次ヶ湯温泉>

ッサンになったら心の感度が鈍って、いろいろなものに興味を持てなくなる、あるいは、自分の好きなもの以外どうでもよくなる、なんて思っていた。で、十分そのキライもあったから、私ももはやオッサンであることだなあと思っていたら、意外や意外、温泉好きになってきた。ここにきて何か新しい物に興味を惹かれるなんてね、びっくりだ。

温泉。正直言って、大嫌いだった。

小さい頃親に連れられて行った湯といえば。
裸のオッサンがいっぱいいて、同じ湯船に浸かって……ああ汚い。
しかも、私はのぼせやすいので、せいぜい15分くらいしかいられない。
折角汗を流しても、外に出たら暑くて汗まみれ。それで家路につく。帰ったらシャワーを浴び直したいくらいだ。

ところが、いまの商売になってから、事情が変わってきた。
私が温泉に行くのは平日の昼ひなか。みんなが一生懸命働いている時間帯だ。だからほぼ貸切の湯。田舎の秘湯じみたところだと、まず間違いなく一人きりだ。

サラリーマン諸君、どうだ、いいだろ。

のぼせやすいのも、最初に水分をしっかり補給するとか、頭に冷水タオルをのっけとくとか、いろいろ対処法が見つかったので、解決に向かっている。あと、身体を鍛えておくことも大事だね。

とにかく、安いし、気楽だし、贅沢気分に浸れる。
経済的な娯楽である。


日は指宿市弥次ヶ湯温泉を訪れた。
ド田舎の、区画がしっかりしていない民家群の中に、その湯はある。
瓦屋根の建物が、二棟。藪に囲まれ、隔世の感。
暖簾をくぐるが、番台に人はいない。湯銭を入れてと書いてある箱がある。300円をチャリンと入れて、脱衣場へ。
暖簾をくぐると  おお、湯殿と脱衣場に仕切りが無い。
ついでに人もいなかった。

湯殿は壁も天井も総板張り。シャワーは無い。カランが一個。真ん中にデンと、四角い茶色の湯船が鎮座している。なんとも風情のある情景だ。

窓が全開で、湯気がこもっていないことは、のぼせやすい私にはありがたい。外からは葦簀ばりで見えない。首でも伸ばさん限り。

次ヶ湯温泉には二つの湯船があって、一つは「弥次ヶ湯」。こちらは熱い。とても熱い。ガマンしてジリジリと肩まで沈んでいくが、身動きが取れなくなる。
志ん生のマクラを思い出すね。

熱い湯船にヤセ我慢して入る江戸っ子ふたり
「う~、ぬるいねえ。ぅううう」
「ああ、ぬるい。ひいい」
「こんなにぬるいと、湯がくいつくね」
「おぉう、おまえ、なんかしゃべんなよ」

結局落語の話になったか。

もう一つの湯船は「大黒湯」。加水してあって、ぬるいくらい。ほんのり白濁。私のような温泉素人が湯を肌で味わうにはこちらか。
常連さん方が数名いききしていたが、みなさん熱い弥次ヶ湯の方へ。ぬるい大黒湯は初心者向けなのか。あるいは熱さも慣れたらヤミツキになるのかしら。

弥次ヶ湯と大黒湯は、それぞれ別の軒にある。男湯ではそれが隣り合っているので、裸のまま移動できる。ここを行き来して熱い←→ぬるいを繰り返すことの極楽ときたら、最高だった。
ただし、軒の継ぎ目が外とつながっていて、長暖簾一枚あるだけ。風が吹いたら丸見えである。しかしその風の心地良さの、ありがてえこと、ありがてえこと。

次ヶ湯温泉の建物は、築125年だそうだ。1892年から続いているということである。
柱も壁も、階段の欄干も、こしらえが重厚である。
二階が休憩室になっていますよと教えられ、上がってみた。16畳くらいの畳の部屋。窓を開けると風が吹き抜けて心地よい。柱に背を持たれ掛け、風に身を任せる。
これは寝てしまう。
ていうか、ちょっと寝た。

ああ、ここに本もってきて読んだらよさそうだ。
ああ、ここでPC広げて仕事したら捗りそうだ。

そんなことを思ったが、温泉場の休憩室に世情を持ち込むなんて野暮の極みだと思い、全部よすことにした。

と、こんな感じで、これからも温泉のことを書いていこうと思ってます。せっかく行って記録しないのもなんだし、これからの湯道楽の励みにもなるので。

あと、紀行文の練習になるかもしれない。