アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

新刊*短編小説『オチケン』がリリースされました。

題の通りです。
Kindle電子書籍にてご覧いただけます。

ボリュームは原稿用紙60枚ちょうどです。長めの排泄なら読み終えるかもしれませんな。

内容は、アマゾンの内容紹介に飛んでもらえれば分かりますけど、以下の通りです。ほぼネタバレに近いくらい書いてますが、分かってて読んでもらった方が面白いくらいのもんですよ、小説てえのは。

 大学四年生のハヤシは学生時代の全てを落語研究会(オチケン)に捧げてきた。後輩女子ホダカに慕われ、平和な学生噺家ライフを送っている。しかし同じ四年の新入部員コグレの台頭により、地位は揺らぎ始めた。コグレは心理学専攻の寡黙なイケメン。中途入部でキャリア半年だが落語は滅法うまい。部内の話題を席巻しホダカの関心も掴みかけている。ハヤシはコグレに嫉妬を抱くようになる。
 ところが、そのコグレが商店街秋祭りの出張高座で不可解な沈黙を演じる。狼狽するハヤシとホダカ。それ以来オチケンは波乱が続いて……。
 通俗的小説体系から製法を抽出し、発想を蒸留置換させた実験的ミステリー短編。

最後の一文が不遜のようだけど、これはいつものことですな。

 

夫したところ…というと何だか変な紹介の仕方だが、落語を知らなくても読めるようにはしています。3つ4つ噺の題名が出てくるけど、内容には深く踏み込んでないし、そもそも内容が大事ならその落語の音源を聴いた方がよっぽど良いでしょうから、とりあげてやしません。あくまで、何の予備知識も要らない通俗小説です。

その代わり、かなりマニアの方にしか分からないようなところがあったりする。たとえば、「ああ、この言い方は何代目の誰それの文句だな」とか、「これは何代目の誰それのあの部分だな」とか。もちろん、知らなくても読み通せるようになっている。通向けのサービスってとこである。

 

品に関し、ちょっとだけ自分の思うところを語るとすると、モチーフにしたのは落語中興の祖・三遊亭圓朝という名人の逸話でしょうか。この人は山岡鉄舟に師事したのち素噺に禅味が加わるようなところがあったそうですが、その極みは彼の戒名「三遊亭圓朝無舌居士」です。噺家なのにが無いというんですから、名人というのはすごいもんですな……と、こんなことを故人になった古今亭志ん朝が名人噺『宗珉の滝』のまくらで言ってました。まあ、そんなことさえ知らなくても、この小説は「あはは」と読み通せますよ。

えっと、さっき「最後の一文が不遜のようだけど」と書きました。『オチケン』が実験的小説だということは、これは私の中において事実であります。が、詳細は述べますまい。小説を書いてく上で永遠の実験を続けることは、ぼくのライフワークであり、その内幕をしゃべることは、おもろつまらないことだと思うからです。

 

以上です。
今年は創作はこれでおしまいかも。ちょっと心身を休めたい。

オチケン

オチケン

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