落語好きを自認し、噺家自身の芸談から評論家のよもやま語りにいたるまで、随分落語関係の書籍を買い集めているけど、今日アマゾンが運んでくれるまで小山観翁氏の作が一冊も手元に無かったのは、大きな欠落だったことは認めます。
無論、小山観翁氏の存在を知らなかったわけじゃない。
それなのになぜ今まで手を出さなかったかというと、これはひとえにTBSの川戸貞吉氏のせいだといえる。川戸氏がラジオで小山氏を紹介する時の文句が、毎度々々引っ掛っていたのだ。
『今日の早起き名人会、ゲストは元電通プロデューサーの小山観翁さんです』
この「電通」というのが、鼻につく。
だいたい、最近だっていろいろあったでしょ? 持続化給付金の下請けのこととか、100日後に死ぬワニの潜伏マーケティングとか。
電通はいつの時代も嫌われ者です。電通がいなければ日本のこんにちの繁栄は無いのは確かだけど、なにかこう、日本人は電通のことを嫌いにならなきゃならないように仕向けられているんじゃないかと思うくらい、嫌われています。
ぼくは前職で「電通九州」さんのお世話になることがたまぁにあった。みなさん「嫌いになる」どころか、実に優秀で、感性豊かで、立派な人たちでした。でも「さよなら」といって建物の表に出ると、途端にああだこうだいいたくなる。多分に僻みなんでしょうけどね。電通イコールエリートってイメージがあるから(イコール超多忙というのもある)。
電通マンは、この国に必要な憎まれっ子なんですよ。「嫌われてるからできる仕事」「嫌われていないとできない仕事」というのは、ま、あると思うんですね。それをあの会社は一身に背負っているんだと思います。きっと。
まあそういうわけで、小山観翁氏のことは「電通」というだけで喰わず嫌いしていたんだけど、気まぐれで「せめて一冊くらい読もうじゃないか」と、アマゾンで300円くらいで中古本を買ったんです。
どうしてそのことをわざわざこんな風に記事にするかというとですね、扉にご本人のサインが入っていたからですよ。最初は得した気分になったんだけど、そのうちなんだか観翁さんがかわいそくなってきてね>_<。
大事に読ませていただきます。
- 作者:小山 観翁
- メディア: ハードカバー