久しぶりに湯の旅へ出た。
最近は休みの過ごし方に苦慮している。独り者の自宅自営は、仕事と休みの境目が曖昧になりがち。休む時は、きちんとした「休んだ」感を得るために、いささか強引に行動してでも気分転換をはからなくてはならない。ポイントは、リフレッシュできて、お金もかからず、特別感のある休日。
それを全て満たすレジャーとは……
ちょっと遠くの温泉へドライブ
私の住まう田舎では、これくらいしかできっこないよ。
訪れたのは、区営鰻温泉なる銭湯。鹿児島市の中心部から車で1時間20分くらいか。
鹿児島県の本土の左っかわ、薩摩半島の南端に「鰻池」という池がある。
湖畔の風景。どうです? 温泉街っぽいでしょう。
朦々と立ちこめる湯気。硫黄臭が充満している。
向こうに見えるのが鰻池ですよ。
近辺にはいくつか温泉旅館があり、豊かな自然、見事なお風呂、自慢のお料理を堪能できる。だが、どこの旅館のサイトを見ても鰻料理は無い。なぜなのか。誰も知らない。
上記写真の左手前の建物が、区営鰻温泉だ。「区営」というからには公共の温泉なのだろう。言っとくが、ここは「区」といっても「文京区」とか「中央区」とか、そんな大層な行政区分では無い。片田舎の区なのだ。ここでの区の定義はおそらく「味噌醤油の貸し借りをする範囲」とかそんなのだろう。うん。たぶん間違ってる。
区営鰻温泉の前景である。左の窓口で入湯料を払う。
入湯料は200円だ。安。
ちなみに、ドライヤーは受付で貸してもらえる。
風呂を上がったら、濡れ髪で外へ出て受付で借り受け、再び中に戻って乾かし、帰りに返す。
お金を払おうと受付を覗いたら、誰もいなかった。
「あらら…」と立ち尽くしていたら、付近にいたおじさんが
「便所やっど」
キツイ鹿児島訛で教えてくれた。区民とのふれあいが生まれた瞬間だ。
男湯の暖簾をくぐり、明るい脱衣場でえいやっと仕度をして、湯殿に入る。
タイル張りの16畳ほどの空間の真ん中に、角丸長方形の湯船がデンとあるのは、指宿付近の庶民派銭湯の一つのパターンだ。湯船の端っこの錆びたパイプから、湯がだくだくと流れている。
洗い場は三か所。シャワーは無い。
湯船に浸かる 足先指先がピリピリする。熱い、マジ熱い……のだけど、なぜか入っていられる。おお……、いい湯じゃないか……じりじりと感慨が湧いてくる。
途中で係の人が入ってきて湯の温度を測った。
「何度っすか?」
「44度ですね」
あれ、そんなに熱くない。
後で知ったことだが、鰻温泉の源泉は90度近くあるらしい。
私見なんだけど、源泉温度が高い湯はハズレが無いと思う。
感覚としては、何かこう、水の分子の一つ一つが地熱で温められている感じ。浸かっていてとことん温まる。湯冷めしない。事実、この日は夜まで足の指がピリピリ温かかった。
いやあ、実に良い湯でした。
近くで温泉卵?をやってた。
物珍しいから見ていたら、硫黄で苦しくなってヤバく感じた。
あぶないあぶない。
*
今年は何だかヤケに寒いですね。寒冬に温泉は似つかわしく思いますが、温泉に行くまでが、なにしろちょっとね。二月はまだ寒い。ここで熱いプロレスの物語を(宣伝)。