齢(とし)のせいか、風邪が治りにくくなっている。そのことに気付いたのは、別に昨日今日のことではない。が、ますます治りにくくなっていることに改めて気付いた。
そもそもの話/犬に咬まれる
今回の風邪は8月28日に引いた。夕方の四時頃だ。よく覚えてる。急に喉に違和感を覚え、途端に頭がくらくらした。じわじわくるんじゃなく、突如として風邪症状になった。変だなと思った。
実はこの日、風邪症状になるちょうど一時間くらい前、実家のトイプードルと喧嘩して肘を咬まれた。長袖の上からだったのであまり気に留めていなかったのだが、あとで袖をめくったら、流血こそしないものの、歯形の周りにどす黒い変色があった。猫の引っ掛かれとか、犬の噛んだのは、いつまでも傷が残って治らないもんだ。バイキンだらけなんだろう。
ということがあった後に、おかしいくらいに急に風邪症状になったので、「もしや」と思いネットで検索した。
犬 噛まれた 症状
のっけに出てくるのは、「狂犬病」「破傷風」など。ビビるじゃないか。狂犬病は今の日本じゃそうそうないらしい。破傷風はなくはないが、現代の医学なら発症してからでもなんとか押さえられるとか。破傷風の場合、顎が開きにくくなるんだって。これ豆な。ちなみに、犬に咬まれて風邪症状がでることは、ままあることだという。「ははあ、これだな」と、ますますトイプードルが憎らしくなった次第である。
喉痛、鼻水、微熱 なかなかおさまらない。で、二日経って病院に行って(それくらい経たないと潜伏症状が表に出ないだろうと思ったので)血液検査をした。わっかいニイチャン先生で、心許なかった。喉を覗いて「はあ、腫れてますね」。鼻水を見て「洟がでてますね」。熱を測って「熱がありますね」。こいつはタケノコだ、やがてヤブになる。血液検査の結果、白血球が少なく、「たぶん犬じゃない」とのこと。心許ないが、感染じゃなさそうなので安心した。
だるさの理由/ホルモンの話
風邪を引くとほんっとダメになる。37度前後でもう動けなくなる。朦朧としてヤル気が出なくって、記憶は長期も短期もめちゃくちゃ。それでも仕事はしなきゃならないが、文章を書く仕事は脳ばっかり使うから、オハナシにならない。無理して書いても脈絡のない、商品価値の無い文章ばかり。諦めて休業とした。んで、ネットばかり見ていたんだが、その時ふと思ったことがあったので検索した。
自分は微熱ですっかりダメになるが、世間には38度でも平気な人がいる。多少症状は出ても、粘れている人がいる。これはどういう違いか。
調べてみると、男性ホルモンが多い人は免疫の関係で風邪のみならず病全般に弱いのだという。確かに女性より男性の方が病気に弱いと言うし、寿命も短い。どうやら私、男気も男らしさもあんまりないが、ヘンなところだけオスっ気が強いらしい。
あと、「なるほど」と思った記事に、病気がキツク出る人は免疫力が強いからそうなるというのがあった。体の免疫が外敵に対し激しく戦おうとするので、余計に熱が出たり腫れたりする。免疫が弱いとそこまでバトルにならず、あんまり苦しまないんだとか。ふうん。アレルギーみたいだな。
「治った」基準/明らかに延びてる
2週間にわたる風邪引き生活中に2度温泉に行った。で、もれなくその晩にぶり返した。なんでこんなバカな所業を繰り返したかと言うと、その日起きたらまあまあ元気だったからだ。「ばっかだなあ」そんなそしりを免れない。でも、その時の当の本人に取っちゃあ、「なんで?」と言いたくなるわけの分からぬ事態だった。
皆さんは風邪の治ったサインに、一つの基準があったりしないか?「このくらい治ったらもういいだろう」「こんな気分になったら今日は働けるだろう」という風に。私にもいくつか基準がある。たとえば
- 痛かった喉が痒くなる。
- 突然下痢して終わる。
- 目ヤニが出なくなる。
長年かけて培ったこれらの自己判断材料から、私は自らに平癒宣言をし、温泉へと出向いたのである。でもぶり返した。一体どういうことなのか。
おそらくこれは、基準が変わったのではなく、基準を通過してからのアプローチに時間が掛かるようになったということだろう。つまり、今までは「痛かった喉が痒くなってから半日後」に平癒してたのが、いまや「一日後」とか「二日後」になった。時間が掛かるようになったのである。いやはや、老化は確実に忍び寄っている。
夏風邪は馬鹿が引く/真実を今さらに
こういう時に限って知り合いからメールやらラインやらが届く。飲みの誘いである。「夏風邪引いちゃって~」と送ったらこんな返事が来た。
あー、バカだったんですね。
ああ、そうだ、分かっているとも。「夏風邪は馬鹿が引く」というもんね。夏みたいなあったかい時節は抵抗力が増す。だのに風邪を引くというのは、すなわち体調管理が疎かな証拠。馬鹿と言われても仕方がない。
それにしてもこの言葉、「馬鹿は風邪ひかない」と並んで頻繁に用いられながら、互いに打ち消す感じで変だなと思っていた。「夏風邪は馬鹿が引く」は、ホントに罹患者の知的不能をものがたっているのだろうか。で、改めて調べてみたら、私は「夏風邪は馬鹿が引く」の意味をまったく勘違いしていたことを知らされた。
馬鹿は冬に引いた風を夏に気付く。だから馬鹿。
というのが真説らしい。なるほど、おもしろいジョークだ。ブロンドジョークの中に似たようなのがあったな。
でもこれは私が馬鹿じゃないということを裏付けるものではない。
総括(普通の意味で)/飽きずに治そう
風邪を引くとだるくて何もできなくなり、家は散れてくる、仕事は溜まっていく、気持ちは焦る、という流れから自己嫌悪が募る。こんな時、治そう・治ろうという気持ちまで失くしたら、ますますまずい。私は風邪の間に普段しない読書をしたり、自作をグンと進めてみたり、いろいろとやってみた。よく考えたら自分のために何かする時間ってあまりとっていなかったなあと思う。結果、読んだ本のことはあんまり覚えていないし、自作はどっちに向かってんのか分からなくなる始末。どう生きたってなるようにしかならんのだと思った次第である。飽きずに治そう。飽きたら疲れて寝てしまおう。病んだらもうそれしかない。
ちなみに今回、私は漢方薬ばかりで養生した。前半は飲まず、後半に竹如温胆湯と麦門冬湯。クラシエだかツムラだか。これがどっちも結構高い。でも、症状に合わせて飲んだら確実に他の養生方法をまとめたより安上がりになると思う。あとはがぶがぶ白湯を飲んだね。
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以上です。
風邪を引いていいことはありません。今風邪っぽい人も、そうじゃない人もご自愛ください。
さて、自作はいよいよラストスパート なんだけど、いまさらながらプロットに矛盾を感じてストップ中。でも、風邪のお陰で若干予定より進んだのは確かです。きっと最後まで書き上げますとも。ええ。
あとね、漢方薬が高かったから、以下お見舞いのつもりでご購読を。右や左の旦那様。