最近読んだ本について書いときます。4冊。
『タンタンの冒険 なぞのユニコーン号』エルジェさん
お買い得ペーパーバックが出ていることを知らなくて、アマゾンで見付けて衝動買いした。小学校時代、図書館にシリーズが並んでいて、みんな順番待ちして読んだものである。家が漫画禁止だったので、ぼくが『マンガ』といったらただちにこれを示す。
発注直後、なにしろ読むのは小学校以来だから「きっとチャチに感じるんだろうな」と危惧していたが、届いてみたら、いやはや、いまでも十分見応えがあった。とにかく背景の書き込みが好きです。ただし、ストーリーがこんなに陳腐だったっけ……と。小学生が楽しめるレベルだから、そう難しい話であるわけもないが。こないだYoutubeでルパン三世の初回放送を見た時に近い「ありえんわ('A`)」感があった。
- 作者: エルジェ,川口恵子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2011/04/05
- メディア: ペーパーバック
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『鼻行類』ハラルト シュテュンプケさん
ありもしないことをその道の専門家がさもありなんとして書き上げた生物学論文(?)である。分類法や解剖図面・骨格図など、誰がどう見たって「本物じゃん」と思ってしまう書き方だ。こんにちなればこそ、巷に情報が溢れているから「そんなのがいるって聞いたことが無いよ」と直感的に疑問を持てるけど、そうじゃ無い時代の人々が見たら、信じてしまう可能性は大だ。
真に驚くべき点は、この本の周辺に渦巻く諸状況、すなわち、こういうものを著そうと思いたつ了見、刷って売ってやろうという了見、買って読んでみようという了見 これが三つとも揃っている点である。なかなかないことだ。けどよく考えると普通に流通している人気本も、えてして似たようなところがある。いわゆる権威主義。「売れっ子の俺様が書くから売れるはず」「〇〇先生が書いているから売れるはず」「〇〇先生が書いているから面白いはず」 意外にたいしたこともないのに売れ続けている先生やシリーズというのは、あるものだ。
- 作者: ハラルトシュテュンプケ,Harard Stumpke,日高敏隆,羽田節子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1999/05/07
- メディア: 新書
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『あなたも落語家になれる―現代落語論其2』立川談志さん
さんざん落語書物を漁っておきながらいまだにこれを読んでいなかったのが我ながら信じられない。しかし、本書の約20年前にさかのぼる『現代落語論』と比べると、ずいぶん景色は違っている。寄席を離れて落語立川流をたちあげた談志師匠の、芸や落語の未来についての苦悩や葛藤が幾重にも語られている。その内容の繊細なこと。大胆な語りの中に実にことこまかな思慮が潜んでいる。
- 作者: 立川談志
- 出版社/メーカー: 三一書房
- 発売日: 1985/03/25
- メディア: 単行本
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『隣り合わせの灰と青春』べニー松山さん
小説は滅多に読まないのだが、あることから本書の存在を知り、購入。微妙にプレミアがついていてちょっと高かった。
そもそもこれを読もうと思ったのにはわけがある。昨今の投稿サイト、中でも一部の異世界作品のテンプレは、なんでああもゲームライクなのか。レベルだのステータスだの職業だの何だの、テレビゲームのような設定が当たり前のように並んでいる。ちゃんと物語の世界観にそくしているならまだしも、のっけからこの調子で始まって……。こういうものが、ごく一部の人たちの間で愛好されるならまだしも、巷を席巻していると知った時は「これでいいのか、日本の文芸」と思ったものだ(余計なお世話だろうけど)。
こういった作風のはじまりを探った時、この本に会った。作中にゲーム的な設定をがっつり前面に押し出したファンタジー作品は、本書が嚆矢ではないかと思う。もっとも、このおはなしはRPG『ウィザードリィ』の世界観をリアルに描き出すために「レベル」だの「ジョブ」だのを出してるのであって、昨今の手合いとは全然意味が違う。といって、本書が文学作品として優れているとは言わない。
- 作者: ベニー松山
- 出版社/メーカー: JICC出版局
- 発売日: 1988/11
- メディア: 単行本
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他にも読んだけど他愛もない。
以上です。