アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

強迫観念とランダムの水滴

ダラダラ書くので、あしからず。

説を書いてみようかなと思うのだけど、何も思いつかないまま一か月ばかり経っている。

イデアは湧いてくる。三つか四つ、手元にある。しかしどれも、なんとなく場を狙ったようなアイデアである。「売れるのでは?」「受けるのでは?」。案の定、いきづまる。わがままなので、じぶんに書く理由がないと前に進めない。プロはすごいな。

といって、毎日ぼんやりしているのもアレなので、十年以上前にやっていた「ノープランでの執筆」に挑戦してみた。しかし、長らくガッチリ作り込んだやり方ばかりしてたので、全然できなくなっていた(いや、前もできていなかったフシがある)。

しょうがないから三歩手前くらいまで想像しながら書いていくが、だんだん「これって何を書いているんだ?」「なんのためのやってんだ?」となってくる。やはり、事前に自分に書く理由がないと進められない。プランが無いということは、最初から理由などないのだ。分かっていながら無駄な時間をすごしてしまった。一応『没ネタフォルダ』に格納したが、まえにこの態のフォルダをSHIFT+DELETEしたことがあるので、これもまた無縁仏の合祀碑となりましょう。

 

次。

日の夕方、雨の中をジョギングしていて、ハッとしたことがあった。……ああ、ちょっとニュアンスが違う。くもり空のところをジョギングして、途中で雨に降られ、あるものを見てハッとした  というのが正しい。

詳しく言おう。走ってたらどしゃ降りになった。空は明るかったので、にわか雨だと思った。どうせ汗みずくなので濡れても構わなかったのだけど、ちょうど近くに閉まってるタバコ屋があって、ビニルテント地の廂が出ていたから、飛び込んだ。雨宿りなんて何年振りだろう。そうしてそのまま、ぬれていく路面をぼんやり眺めて数分経った。

その時に、あるものに目を取られた。

顔の前に、テント地の廂が低く垂れている。私の目の高さのあたりで、ゆるゆると山なりになった布地の先から、雨のしずくがぽたぽたと垂れていく。三か所くらいからとつとつ、とつとつ、と垂れていく。
その水滴のきれいなこと。
三か所から垂れているそれは、どれも不規則なリズムで次々に落ち、次にどこから落ちるのか、分からない。それでも絶えずぽつぽつ落として、また次のしずくのかたまりを、布地の先にぐーっと膨らませていく。それは透明で、いろんなものを映し込んで、青く赤くまるまっている。輪郭は緑で、じっと見ている間に、はたと落ちる。次にどれが落ちるのか、それを目で見て考えていると、またたく間にどこかの水滴が落ちて、さらにまた次が垂れようとする。

変な話、私はその不規則性  ランダムさに、ハッとしたのだった。

おおよそ人の生活というものは、筋書きが決まってから動き出す。かく言う私もそうだ。仕事にしても、趣味の小説にしても、何でもはじめに着想があり、それに従って物事を整理し、書き出し、締めくくる。その他のことも、自分で思い立ち、その展開を予測し、予定通り実践して収束する。お出かけも、買い物も、支払いも、パトロールも、ほとんど全部当人の想像によって統制され、管理される。生活とは、そんな時間の連続である。

これが可能なゆえんは、あらかじめ物事がどういう帰結になるか想定できるからだ。それにはいろんな「おかげ」がある。人生の経験値もあるけど、ネットは特にすごい。天気予報、列車の時間、ショッピングの最安値、株価だのなんだの……情報は出揃っている。当今には不如意ということが、あまりない。たとえ結果的に意のままにならないことも、おおよその流れとか結末というのは目に浮かぶ。そんな時代を、当たり前のように生きている。世の中、もはや分からんことなどないのだ。私はそんな風に、世間を、自分を、過信していた。

そこにきて、廂からしたたる雨だれは、なんとまあ見事に、ランダムで、不如意で、自然に映ったことか。

私はもうじっと見入ってしまって、雨が上がったのも分からずにいた。垂れるスピードが弱まってやっと気付いた。

世の中は、ランダムで、はじめから何一つ決まり切ってなんかいないのだ。

毎日自分の生活を単調に過ごしていると、一日の長さはこれだけ、一日にやるべきことはこれ、この時間はこれ、こんな感じでこう仕上げる  みたいに、全てをかためて考えようとする。その方が効率的だからだ。意図せずとも自然とそうなる。
しかしそれは、どこか窮屈である。いくら効率化とはいえ、人間の生理の根本は自然である。そのような効率化はいつか自分を追いつめて、心身を害してしまうだろう。

それを雨だれのランダムさが気付かせ、呪縛を解き放ってくれた。なにか真理みたいなものを見せつけられたような感じがした。

すこぅし気が楽になりました^^

そう、小説なんて、無理して書くことは無いのだ。書きたくなったら書けばいい。痒みと一緒だ。

 

まあ、こんな感慨は、たぶん年齢のせいだと思うけど。
としとってなんでもかんでも感動するようになったんでしょ。
悲しいねえ。

あれ? 一体何の話をしてたっけ?

とにかく、雨ばかりだと家に籠っていろいろ考えてしまうので、早く梅雨明けしてほしい。

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