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創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

無責任落語録(1)「鰍沢」

心がついた頃には、すでに落語好きだった。
そんなわけで、自著にも落語のことを結構出している。
かといって、自著の方向性から考えて、落語はターゲット的にどうかな、と。そんなわけで、なるべく落語の知識が無くても読めるようにしている。

ホントは書きたい訳だよ。だって好きなんですもん。
無責任姉妹に出てくる落語は、演題のみ出しただけのも入れて、出てくる順にこんだけある。

鰍沢以外は名前が出てくるだけだ。
寿限無や饅頭怖いは、落語好きならずとも聞いたことのある題をピックアップしただけ。
孝行糖・らくだ・黄金餅・鼠穴はマニアっぽさというか、リアリティというか、そういうのを醸し出すために出した演題だ。
SF小説などでよくやるでしょ。よく分かんないカタカナを並べていかにもそれっぽくするやつ。

「BIFFフィールド解除、手動トランスフォーム変換」
「よし、ERSコードを118から290DGに移行せよ」
「隊長、磁気軸ステアがIPしません」
「何だと……プレアーニをマウントするしかないか」

こんな態です。安い演出。

てさて、
無責任姉妹に於いて「鰍沢」はかなーり濃厚に出てくる。
(話のくわしい内容はご自分でググってください。)

このネタの考案者は初代三遊亭圓朝。現代落語の父である。
名人としてしばしば四代目橘家圓喬の名が挙げられる。明治の咄家だ。
この圓喬があんまり上手くって、以降演る人があんまりいなくなった。
楷書の芸とか昭和の名人と言われる八代目桂文楽

アタシなんかは圓喬師のが耳にこびりついているから、演れったてとても出来やしません

と言い、六代目三遊亭圓生

エェ、アタクシは自身の腕をどこまでできるか試すために演じているんでゲス

と言い、演じることすら畏れられている。
圓生師の他は、八代目林家正蔵、十代目金原亭馬生などが演っている。個人的には正蔵師が震える声で演るのが趣きがあっていいのだけど、それって多分古典の正しい評価法じゃないよなぁ。

おっと。今挙げた師匠連はみんな鬼籍の人じゃなイカ!?

現在、鰍沢を演る咄家で気になるのは、柳家権太楼師。
一般にこのネタでは主人公に旅の男を据えるのだが、師の噺では月の輪のお熊になっている。
彼女の絶望が狂気にまで高められる演出はなかなか壮絶。
ここまでの演り口は、圓喬を知らない世代だから可能なのかも。

   *

……と、そんなわけで、誰もついてきてくれやしないだろうけど、これからは落語のことも書いていきます。
世の中には、落語をモチーフに小説を書く人も、たくさんいらっしゃると思います。
私もそんな中のひとりです。

ちなみに、鰍沢が出てくるのは無責任姉妹の2巻です。

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