唐突だが、自分の小説の進捗報告をしよう。すっかり夏の予感がし始めた今日この頃、気分が怠けて執筆フェイドアウト、書きかけのままお蔵入り……なんてことが起こりえなくもないので、ここにこうして進捗を公表することで、背水の陣を敷こうと。よくあるセルフコントロールのパターンです。
- 作者: 吉田柚葉,小林アヲイ
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タイトルは「UB物語(仮)」。1月1日から書き始めて、あらかじめ作った筋書きの上でちょうど真ん中に差し掛かった。目下、原稿用紙200枚程度。ジャンルは一応ファンタジー。「一応」って何だというツッコミはこの際無視して、よくあるいわゆる「剣と魔法」「勇者と魔王」といったような世界の話である。
ちょっと話が脱線するけれど、かくいう私はドラクエ世代というやつで、この世代以降の人たちは、何かこう、みんなファンタジー物語のステレオタイプみたいなのを持っている。それは現代のファンタジー創作でもほとんど同じように扱われているように思う。誠に便利な概念です。
このブログを書いている今日4月21日は30年前にゲームボーイが発売された日だそうだ。ゲームボーイのRPGの一番の当たりはSAGAシリーズだろう。このシリーズは剣と魔法以外に銃火器なんかも出たりして、それまでのファンタジーの世界観に一石を投じたなぁと思ったものでした。私はあんまり好きじゃなかったけど。
発売日に買いました。
— 小林アヲイ (@IrresponSister) April 21, 2019
うちのはまだバリバリ現役です。#ゲームボーイ pic.twitter.com/mrjVI7aoh9
話を戻しましょう。私の創作のことです。
実は執筆中盤まで来て、後半の筋書きを全部作り直すハメになった。ひとつの一貫した筋を作っておきながら、書き進めていくうちに色々と辻褄の合わないことがあるのに気づいたのである。
「普通人間はこんなふうに考えるものだろうか」
「こういう時、人間はこうは動かないよね」
小さなほころびは中規模のエピソードを破壊し、最終的に全体を崩壊させる。プランニング段階での自分の杜撰さがよく分かる。実をいうと無責任云々もブレイブ云々もその轍を踏んでいて、毎度ながら学ばない奴だなぁと、我ながら呆れかえる。
気づいちゃったが最後、作り直さないわけにいかない(泣)。
実際、小説のストーリーなんて、目くじらを立てて読めばどんな作品だって辻褄の合わない点はあるだろうし、リアリティなんて、もちろん必要だけれども、絶対では無いのかもしれない。例えば、誰もが知っている昔話「桃太郎」だって、川の上流から桃が流れてくるだけで「何それあまりにも非現実じゃん」とケチをつけようと思えばつけられるのである(野暮だけど*1)。
しかしここはテクニックの用いどころで、桃が流れてきた直後に「ドンブラコ、ドンブラコ」と珍妙奇天烈な擬音を配することで、どさくさに紛れて話を進めることができるのである!
というのはちょっと乱暴な考え方かしら。稚拙、反省。
物語の辻褄について、たびたび自作「受給家族」の話で恐縮だが、地方文学賞の公開選考会の俎に乗った時、二人の審査員がこんなやりとりをしたのをよく覚えている。
作中、主人公の少年が「おっちゃん」に会いに行く箇所で、少年はおっちゃんの居所を知らないにもかかわらず、「こっちにいるんじゃないかと思った」→「そしたら居た」みたいな流れのところがある。
審査員の一人、M角さんがこの箇所について「あまりにも都合がよすぎる」と指摘した。するともう一人の審査員のM田さんがそれに対し「小説ってそんなもんだよ」と答えた。会場が軽い笑いに包まれた…ということがあった。
お二人とも正しいのだと思う。要はその小説の「ムリ」を別のことでうまくコーティングできなかった私の落ち度であるよ。
*
というわけで、無理を承知で無理な小説を書き続けている「UB物語」。ファンタジーの物語を書くのは初めてです。最後まで書けるようにがんばります。目標7月!
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*1:そして、往々にして、この手の批評は実際に行われている