アヲイ報◆愚痴とか落語とか小説とか。

創作に許しを求める私の瓦斯抜きブログ

グロ注意「ブレイブガールS」CM制作の舞台裏。

のたび、キンドル電子書籍【ブレイブガールスープレックス】の告知用ウェブCM15秒を制作し、twitterYoutubeに投下した。
これである。

ハッキリ言おう。

これを作ったからと言って電子書籍の売上は向上しない。

そのことは作る前からお察しである。以前、無責任姉妹のCMを作った時もそうだった。映像がKDPアカウント画面の棒グラフに影響する実例は目下のところ確認されていない。むしろ労力の分だけ如何なものか。こんなの作ったら却ってハナにつきやしないかと思うくらいである。
もっとも私の披露目方が悪いのかもしれないけど。

それでも作ったのは…まあ、元々そういう仕事をしていた時期があったので、なんとなく習慣的に。あと、映像制作は今の私にとって必要のない技芸だけれど、かといって失いたくもない気がしたので、忘れないためだ。


のCMの一番のポイントは、女性がほんのちょっと首を振るところである。尺で言うと5秒から7秒あたり。ほんの2秒くらい。よ~く見てほしい。顔面がちゃんと立体になっているでしょう? 分かるかなあ?
スクショを並べると、こうだ。

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よーく見ないと分かんないね。

素材は作品の表紙に使った一枚のイラストのみ。
平板の一枚がどうして立体になんのか、制作の舞台裏をご紹介しよう。

被写体は本作に登場する二宮しはるさん(29)。作中を含めCM撮影は二回目である。
撮影中の彼女の左サイドにズームイン…

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おや?

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おやおや?

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おやおやおや?

分かりにくいのでちょっと見やすくして近寄ってみると…

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きもっ。

一枚の表紙絵をコピーして3枚にする。そのうち一枚を【顔面のみ】、一枚を【鼻のみ】に加工し、下の画像のように画面奥から【全景】【顔面】【鼻】の順に並べる。【眼鏡】だけもともと別パーツで描いていたので、鼻の前に配置。んで、鼻と眼鏡だけちょいとハスに。遠近感の兼ね合いからそれぞれのサイズを調整。

これを前から映すと立派な中高美人になるのである。

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「横顔美人」とは言うけどね。

この状態で彼女にジッとしといてもらい、カメラワークでいかにも動いたように見せる。あんまり大きく動かすとアジャジャな顔がばれてしまうので、奇抜なアングルは撮れなかった  というわけだ。

使用ソフトはAdobe After Effect CS4である。ちょっとでもカジった人から見ると「ふーん」という程度でしょうな。

ソフトをいじくって編集するより、正直コンテを練る方が大事だし時間がかかった。映像は文章と違って「分からせる」というより「感覚に直接訴求する」メディアである。つべこべ文字を入れたって、観る人は読んでられないし、理解しようとしてたら映像を見逃しちまう。わずか15秒では何か言おうにもほんの「ひと言」だ。その一言を絞り出すコピーライターという仕事はすごい。私のように駄弁を弄する人間にはとても務まらない商売です。

…以上、制作舞台裏でした。どんとはれ。

ブレイブガールスープレックス

ブレイブガールスープレックス

無責任落語録(31)「四代鈴々舎馬風」

近は連投だなァ。
……にもかかわらず、みんな、よくアクセスしてくれたな!

乱暴な挨拶の種明かしは後でするとして、本日、拙作「ブレイブガールスープレックス」の無料キャンペーンがスタートした。それにしても、またも難局と重なった。プライム何とかである。ノアの箱舟に乗せてもらえるのはほんのわずか。むろん、拙作は洪水に飲み込まれて、息も絶え絶え。
「オラたちゃ、浮かぶ瀬がねえなァ……」

そんな中、いろいろ考えた。自分のライティングにおける欲望のプロセスを。

  1. 根本的に、書くのが好きだから書いてる。
  2. 読んでくれる人がいたら、是非読んでもらいたい。
  3. 面白ければ、また別の拙作を読んでもらいたい。
  4. んで、買ってくれるなら買ってほしいし
  5. いっぱい売れたら嬉しい!

どこまでが純粋なのかな。まあ、たぶん3までなんだと思う。良いのが書ければ必然的に4や5になっていく。最初っから4や5に向かうのはどうかと思うけど、人情として分からんでもない。

当ブログの落語録では、芸人のこの手の思考について、幾たびか触れたことがある。

「芸人は、売れなきゃいけません。売れなきゃ卑屈になります」
「芸人は、長屋に住んでなきゃいけません。お客さまより良い生活をしたらダメ」

売れるとか売れないとか以前に、本当に落語が好きで、口演していることそれ自体が無上の幸福であるような、そんな感慨が理想的だろう。でも、食っていかなきゃいけないしね。


れたかどうかと言われたら甚だ疑問ながら、その口演のインパクト・切っ先がよく、寄席に多くのファンを持っていた噺家がいる。
四代目鈴々舎馬風  古典落語は少々で、物真似と漫談で人気のあった、通称「鬼の馬風」だ。

「えーっ、みんな、よく来たな。どこから来ンのか知らねえけど、よく遊んでいられるな。お帰りよ……って、ウソだよ!」

冒頭で使ったのは、馬風が高座で最初に話すこの一節のパクリである。

馬風は鶴本の志ん生に入門し、三代今輔、四代小さんと遷り、真打昇進して馬風を名乗った。
豪快な語り口と独特の切り口、「今日はこれでおしまいっ!」とぶったぎるハケ方まで、いちいちインパクトに溢れている。動画が残っていないのがまことに残念だ。
新作一辺倒で、現代の穴をつくというか、風刺が多い。古典落語も少々残っているが、それもいかにも馬風風の味付けだ。

「~やがて、あなたの緑の森で、花は笑い鳥は歌うであろう。……ねえ、何がおかしいんだい? こういう詩的なことを言うと笑うんだから。ねえ、~」

(権兵衛狸のマクラ)

風刺の方は、寄席の漫談にありがちな駄洒落や年寄りこきおろしじゃなく、ちゃんと馬風特有の切っ先がある。

「なんでぇ、東大なんて威張りゃがって。勉強が出来るやつだけ通して、できないやつを落とす。こちとら勉強ができないから大学に行こうとしてんじゃねえか。何で落とすんだい」
(やや編集:早慶の学生にはよく受けた)

「満場の悪漢どもに告ぐ!」
(刑務所の慰問で)

彼自身が脳卒中になって復帰した時の高座は「病院物語」として録音が残っている。「どうして俺がこんな目に遭わなくちゃならないのか……」と悲嘆するところは涙を誘う。が、

志ん生が倒れたって聞いた時の、うれしかったのなんの!」

馬風の芸風は、戦前戦中の変化の時期、まさに毀誉褒貶の対象であったろう。落語評論家や古典一辺倒の大師匠たちは、むろん彼を評価しなかった。それでも馬風馬風のやりたい芸をとことん貫いた。そこに躊躇はあったのか……録音を聴く限り、あまり感じられない。売れる売れないを超越したところに馬風の本質がある気がする。

そう。売れる売れないじゃない、やりたいことを躊躇せず、前に進めー! ってつもりで今回は馬風師匠を取り上げました。
頑張りますよ、ウン。

無料キャンペーンは10/10の夕方まで。

ブレイブガールスープレックス

ブレイブガールスープレックス

温泉記。その7<池田温泉>

うー……。
新作をリリースして3日経った。
年がら年中原稿に追われ、終わったら「はい次」また終わったら「はい次」という日々なんだが、やっぱり自分の原稿となると意味合いが違う。今、私は、脱稿ボケというか、アップロードボケというか、すっかり虚脱状態にある。単身居酒屋に赴いての一人出版パーティに耽るでもなく、もう何をするにも面倒で、万年床にゴロゴロしている。仕事はいつもの半分くらいしかできない。飯を食うのもトイレに行くのもめんどくさい。

このままめんどくさがって家でミイラになっても仕方がない。身体をよいしょと起こして、「何かしようや」と自らに呼びかけるが、反応が悪い。なぜだろう。自分をつぶさに顧みると……実はまだ身体が執筆作業を引きずって、神経イライラ、手首ズキズキ、目頭ぴくぴく、腰ガクガク……であることに気が付いた。そりゃそうだ。4月から執筆開始し、それと共に積み上げてきた疲労が、そう簡単に抜けるわけがない。これは癒しを兼ねた治療が必要だ  

いうことで、久しぶりに温泉である。

こういう時に入りたいのは、湯が全身をこれでもかッと癒してほぐし、思わず「あ゛あ゛~」と声を上げそうになる、入浴感溢れる温泉だ。

鹿児島市東谷山町にある「池田温泉」は、そんな希望に応える穴場中の穴場の湯である。

穴場中の穴場なんて書くと、ちょっと誤解があるかもしれない。予め言っておくが、この温泉は、別段山の中の秘湯では無いし、硫黄臭たちこめる「何が凄そうな湯」でもない。湯治宿泊や温泉饅頭の土産物屋も無い。ごく普通の銭湯である。地元密着、ただひたすら硬派な、ド銭湯である。

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ほら、いかにも風情のある建物でしょ。

一歩入ると券売機。鹿児島市は通常大人390円なのだが、2017年現在380円である。10円もお得だ。

券売機の横の戸から中へ。そこは脱衣場。入ってすぐ横に番台があるので、さっき買った入浴券を渡す。

女湯はどんなだか分からないけど、男湯脱衣場のなんとも雑然としていること。壁にポスターだのなんだの、いろいろ貼ってある。飾らないからかえって落ち着く。

鍵ナシのロッカーはだいぶ使い込まれた様子。ロッカー以外に、床に脱衣籠が重ねて置いてあるけど、私物を入れた時の置き所が分からない。ロッカーへ入れようとすると、横幅はちょうど入るけど扉が閉められなくなっちゃう。

脱衣場の隅にソファと自販機。テレビもある。湯上りのおっちゃんたちがいつまでも戻らずに、湯気を立てながら眺めている。……おお、見事な欠伸だ(脚色)。
時折聞こえる客同士の鹿児島弁。

「なぁ? いまかぇや おせな。
「ないが いまずい しごっよ。
「んな なをすぃや ごけん かかっとよ。
「おいがとは はんぶん あすいかたよ。
「あいたこら なら さきな。

わかるかな???

サッシを開けて湯殿に入る。床・壁は現代風のタイル張り。センターに湯船がデンとあり、サイドに洗い場が並んでいる。正直、そんなに広くない。

いかにもごく普通の銭湯である。

けど……何なんだろう? この高い入浴感は!

湯はスベスベ、ほんのり塩気がある。肌がたちまち潤う。あなたが男性ならシェービング後すぐその滑らかさに気付くだろう。

湯船は水風呂を含めて三つ。加温していないぬるめの湯船と、気泡が轟々と逆巻く温かい湯船。この二つを行ったり来たりしていると、「あ゛あ゛~」と声が出ない人はいない。源泉かけ流しではないとのことだが、別にそんな事どうでもいいや。

ここの湯を説明しようとすると、何てったらいいか……言葉にしにくいけど、単に「湯に入ってる」というより、湯の方から身体に「これでもか」「これでどうだ」と確かめてくるような感じがする。非常に挑戦的でありながら、滑らかで人懐っこいのである。

湯殿に観葉植物が置いてある。たぶん気付いていない人も多いのじゃないか。

 

泉に方々行って思うようになったのは、「バランスって大事だな」ってことだ。
たとえどんなに源泉が良くっても、あんまりこぎれいだったり、気泡だの電気だの、いろいろやりすぎてると、野暮な感じがする。そもそも温泉ってのは、「今日はガッツリ入りたいな」「軽くいきたいな」「身体をほぐしたいな」「ヒーリングだな」などの欲求の種類から「じゃ、あそこに行こう!」と決める。だから、その泉質にあわせた風情があれば、それでいいのだ。過剰演出は逆効果になりやすい。

池田温泉はそういう意味で、「銭湯での入浴」という一連の行為を、一定効率内に最大限に引き出している温泉であると思う。お得感でリピートさせるというより、愛着でリピートさせる、そんな「我が家」みたいなお風呂屋さんなのである。

今回は、以上です。
「ブレイブガールスープレックス」はそれ自体温泉でも楽しめますが、きっと端末の方がもたないでしょうから、持ち込まない方がいいですよ。

ブレイブガールスープレックス

ブレイブガールスープレックス

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